
持分なし医療法人への移行に際して、認定医療法人制度を活用することで税制優遇措置や低利融資が受けられます。この制度は令和2年度税制改正で3年延長となり、また認定期限も医療法の改正により3年延長され2023年9月末となっています。この延長された期限まであと1年程度となりました。検討や手続をされる方は、この期限にご留意ください。
持分あり医療法人は、改正医療法施行により、2007年4月1日以降設立することはできません。それまでに設立された持分あり医療法人は、“経過措置型医療法人”として当面存続が認められ、“持分なし”への自主的な移行が求められています。しかし、移行に係る課税上の問題やその他の事情により、移行が全く進んでいませんでした。
そこで国は移行促進策として、課税上の問題を解消できる「認定医療法人制度」を設けました。具体的には、平成26年度税制改正で持分なし医療法人への移行に際して、移行計画を作成して厚生労働省の認定を受けた法人(以下、認定医療法人)については、その認定医療法人に係る出資持分や出資持分放棄に係る相続税・贈与税を猶予・免除してもらえる制度が設けられ、更に平成29年度税制改正により法人のみなし贈与税が非課税となるなど一定の見直しが行われ、そして令和2年度税制改正でこの制度の適用期限を3年間延長する措置が講じられて、現在に至ります。
しかし、こういった制度があるにもかかわらず、2021年3月末日現在、「持分あり医療法人」の数は依然として医療法人総数の67.6%を占めています(厚生労働省調べ「医療法人数の推移」)。
この“認定医療法人”の認定期限が、現状では2023年9月30日となっています。ゆとりを持って数ヶ月前に移行計画を厚生労働省に申請し、この日までに認定を受けなければなりません。
また、認定医療法人は、運営の適正性要件等、申請時までに一定の認定要件を満たさなければなりません。
更に認定日から3年以内の移行、移行後は要件の維持と報告が6年間求められています。

直前期の決算内容によっては認定が受けられないこともあるため、事前対策にはある程度の時間を要します。ご留意ください。
参考:厚生労働省HP「持分の定めのない医療法人への移行計画の認定申請について」など
本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
- 医療機関や福祉施設と印紙税2022/05/15
- 4月からまた新たな申告書に 〜退職所得の受給に関する申告書〜2022/04/15
- 令和4年度税制改正大綱 福祉施設編2022/03/15
- 令和4年度税制改正大綱 医療機関編2022/02/15
- 1月からの退職金に係る源泉徴収 新しい申告書と短期退職者への源泉徴収2022/01/15
- 継続する新型コロナウイルス感染症対応日本医師会休業補償制度2021/12/15
- 令和4年度税制改正要望 〜福祉編〜2021/11/15
- 令和4年度税制改正要望 〜医療編〜2021/10/15
- 事業再構築補助金の圧縮記帳の適用2021/09/15
- 感染拡大等防止支援事業に係る交付金 〜消費税の報告義務〜2021/08/15
- 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の改正と活用2021/07/15